【園田浩二のPainterいつ始めるの? 今でしょ。】
第2回 マッピング画像作成にPainterを使おう
マッピング画像を作る際、"アジの開き"と呼ばれる鏡面対称の画像を作ることは、昔から(ShadeにUVマップが搭載される以前)よくありました。
例えば、ShadeExplorerの中にも収録されているこの恐竜の胴体のマッピング画像もそうです。
実は、Shadeの自由曲面のラップマップは広義のUVマップだからです。
ただし、LSCM(UVアンラップと呼ばれる機能)とは違い、形状の任意の場所を切り開くものではなく、方形に整列したメッシュに対してマッピングされるものになります。
今やスプラインとポリゴンのハイブリッドモデラーの道を歩みつつあるShade...。 LSCMの機能が搭載されるのも時間の問題かも知れませんし、従来のラップマッピングの画像を作るにしろ、画像の加工に余計な手間はかけたくないものですよね。
この胴体のマッピング画像は、以前はフォトレタッチソフトのゆがみと呼ばれる画像変形機能と画像の自由変形の各種反転を使って作っていました。
しかし、それだと鏡面画像は片方を加工してからでないと見ることができませんし、鏡面と元のレイヤーの統合など、何かと加工に手数のかかる操作が必要でした。
Painter 12 は本当にペイントソフトとしてよくできていて、絵を描くことに関してあまり操作のストレスを感じることはありません。
では、この胴体のマッピング画像をPainter 12 で再加工してみましょう。
元のマッピング画像は水平軸で上下に鏡面になっていますが、鏡面ペイントの初期設定は左右対称になっていますね。でも大丈夫。このままで絵を描くことができます。
Painter 12では、主体となる対称の絵が傾いていたり、画面の中央にない場合でも、キャンバスを移動したり回転させる必要はありません。鏡面の軸をドラッグするだけで、傾きも位置も一発で設定が可能です。
多彩なペイントブラシを使って、元画像を簡単に加工してみました。この状態に編集するのに要した時間はわずかに2~3分です。
Painter12で加工が終わったらファイルを保存し、Shade側で画像を更新すれば、そのままの位置でマッピング画像が切り替わります。とても楽ですよね。
さて、同じように傾いた軸のまま鏡面ペイントをしてみたのが次の画像です。
顔に設定した鏡面ペイントと衣服の部分の非対称ペイントも、元の鏡面軸の設定を残したままいつでも切り替えが可能なのも便利ですね。
実は、前回紹介した万華鏡のペイントも全く一緒の操作で、ツールボックスの鏡面ペイントの横に出るメニューの中にアイコンがあります。
万華鏡の対称軸が現れますので、その一角を描くだけで反射像がリアルタイムに反映されます。触ればすぐに操作がわかるのもPainter12の良いところ...。
万華鏡ペイントの方は、紋章やアラベスク模様を作ったり、色んなことに活用できるでしょう。
そして最終的に完成したのがこの絵です。キャラクタの顔のマッピング画像も簡単にペイントできそうですね。
Painter12なら、本当に絵を描くように写真の着彩レタッチができます。
この着彩も、本来ならペンタブレットの筆圧感知などを使って、もっとリアルなタッチが出せるのでしょうが、マウスも使わず、タッチパッドだけで着彩してみました。
レイヤーを設定して、大雑把に塗って、はみ出た部分を消しゴムで消しただけなんですが、それでも自然に絵具が滲んでくれるので、大きな失敗もせずに、あっと言う間に完成させることができたのは初めての経験でした。
さすが真のペイントソフトPainter、塗ることに関してのアドバンテージは高いですね。
絵具同士の混色はもちろん、紙に滲み込む様子もリアルにシミュレートされますし、何よりも、混色のためのパレット上だけでなく、キャンバスの上でも自然に色が滲んだり、実際の画材ではちょっと難しい着彩後のボカシや脱色が簡単にできるのも素晴らしいと思います。
実際の画材でも、こんな風には塗れずに色を濁してしまったり、はみ出したりと色々苦労するのに、修正はいつでも可能だし、これからはパソコンで絵を描いてみるのもありだなと思わせてくれました。 筆跡を残すことも自然にぼかすことも、いつでもできるのですから、ある意味最強の画材ですよね。
(実を言うと、過去に色々ペイントソフトで絵を描こうとしたことはあるのですが、なかなかうまく行った試しがなかったのです。今回、記事を書く上で、自分でサンプル画像を作らなければならなかったのですが、正直言ってうまく行く自信はなく、少々重荷に感じていたのです。でも、こんなにしっくり思い通りに塗れるなんて、ちょっと絵の腕前が上がったように錯覚してしまいました。Painter12がえらいんですけどね...笑)
来週は、このモノクロ写真の人物のペイントにも利用したリアル水彩のブラシとテキストのユーザーインターフェイス周りについてお届けします。
多彩なブラシの種類や、ずいぶんと助けられた驚愕すべき色の滲み方、テキストの入力のしやすさなどをお知らせできたら良いのですが....。では次回もお楽しみに。
※本文中の画像は、クリックすると拡大します。
デジタルアートソフトウェアの最高峰
Painter 12
- パフォーマンスの改善
- 描画ブラシがマルチコアCPUに対応
- 拡大/縮小/回転時の画質が向上
- インターフェース、デザインを一新