新機能詳細
インスタンス
インスタンス機能を使うと、ほぼオーバーヘッドなしに、シーン上にオブジェクトを大量の 複製することができます。従来であれば、メモリ不足を引き起こしたかもしれませんが、膨大な仮想ポリゴンが持てるようになったことで、アーチストは信じら れないほどのディテールをシーンに加えられるだけでなく、レンダー時間を抑えることも可能になります。
インスタンスは元となるソースオブジェクトの複製ではありますが、見た目が全く同じであ る必要はありません。スケールや位置、回転、さらにはサーフェイスまでもオリジナルとは全く異なる設定へとランダムに変更することが可能です。これによ り、いくらでもインスタンス機能を使うことができるのです。
フロッキング(群集)
フロックコントローラを使うと、近隣のアイテムと衝突することなく、ターゲットに整列したり、一つの大きな塊となりながら、リアルで自然な群集の動きを簡単に作り出すことができます。フロックシステムには三つの要素があります。
一般的なフロックモーションの例は以下の通りです:
- 鳥の群れ
- 魚の学校
- 昆虫の大群
- 動物の群れ
- 飛行物の演習(飛行機や宇宙船など)
フラクチャー(破砕)
この新しいモデラーツールは、LightWaveレイアウトに実装されたBullet物理演算用に設計されました。このツールを使えば、物理演算で破壊処理が行えるよう、事前に破砕されたオブジェクトを準備することができます。
破砕された時点における各破片の形状を微調整するために方法、またそれに関する様々な設定が用意されています。また、出力された破砕のエンドモーフを作ることも可能であるため、物理演算の使用にかかわらず、爆発アニメーションを作り出すことができます。
ソースオブジェクトにはウェイトマップを適用し、破砕が発生する箇所の密度をコントロールすることも可能ですので、LightWaveにおいてオブジェクトの粉砕を作成するための柔軟性のあるツールといえます。
Bullet 物理演算
Bulletは高速、かつプロダクションでも実績のあるオープンソースの物理エンジンで す。この物理演算を活用して、多くの注目を浴びるエフェクトを駆使した映画やリアルタイムゲームエンジンなどが製作されています。Bulletはもとも と、Erwin Coumans氏により作られた3Dリジッドボディ用の物理演算ライブラリです。
LightWave 11はレイアウト上へBullet物理演算エンジンを直接組み込んでいるため、モデラーに追加された新しいフラクチャーツールを使用することで、説得力の ある物理演算ベースのアニメーションを作ることができるようになります。ビルの崩壊や爆発、ランダムなパターンで展開されるアイテムの自然な配置といっ た、手動で処理するには難しいシチュエーションをも可能にします。
仮想スタジオツール
仮想スタジオツールは、サードパーティ製のコントローラを使ってシーン内のアイテムをアニメーションさせることができるLightWave 10から実装された機能です。
LightWave 11ではさらにこのコンセプトを拡張することにより、Playstation(r) Moveといったようなコントローラも利用できるようになりました。仮想スタジオツール用の新しいSDKを利用することにより、開発者はこれらサードパー ティ製コントローラをシステムへと直接活用できるようになっています。
仮想スタジオツールに新しく追加されたControl BoothとDevice Managerを使用すると、コントローラをどのように設定するのかという側面から管理できるようになります。基本的に、いかなるデバイスを用いても、 LightWaveでアニメーション可能なアイテムすべてをコントロールできるようになります。
また、ノード編集を用いることにより、LightWaveへとデータがキャプチャされた 時点において、どのようにデータ入力を操作するのかについても、修正できるようになりました。これにより、ロジックを組み合わせて入力を作用させることが 可能になります。仮想パフォーマンスがキャプチャされたら、データはグラフ編集内で編集することが可能になるため、リアルタイムにキャプチャされるパ フォーマンスをすべて手動で編集できるようになります。
LightWave 11における仮想スタジオツールはこのテクノロジにおいて大きな進化を遂げており、新しいSDKを使えば、開発者はサードパーティ製デバイスのサポートをさらに拡張することができるのです。
互換用ツール
GoZ
GoZはPixologic(r)から公開されている互換テクノロジであり、このテクノ ロジを使うことでベースメッシュ上に詳細なスカルプティング処理を施したモデルデータおよびテクスチャデータを、ZBrushから双方向に入出力すること が可能になります。GoZは多くの3Dアーチストの間では一般的に浸透している手法であり、LightWave 11でもこのテクノロジを提供するようになりました。
LightWave 11のレイアウトおよびモデラーへと、GoZはしっかりと実装されており、すべての機能を提供しています。これにより、テクスチャマップに関する全ての設 定、およびモデルデータをやりとりできるようになります。さらにモデラーでは、フェイシャルモーフなどに使われるエンドモーフ用スカルプティングに対して も、ZBrushを使用できるようになっています。
GoZの実装により、LightWaveのスタジオパイプライン内部への統合がさらにスムーズになりました。これにより、LightWave 11ツールセットはさらに強力になっています。
レンダーバッファの拡張
画像を生成するレンダーエンジンにより生み出される様々なバッファを保存・閲覧する機能が、LightWave 11でよりパワフルに、より簡単に機能するようになりました。
新しいCompositing Buffer Exportパネルでは、バッファに含めるオブジェクトを特定できるようになり、保存・閲覧用のバッファを選択しやすくなりました。
また、従来のバージョンではレンダー出力の際に必要とされていた二つの異なるパネル機能 を組み合わせ拡張することで、より合理化された合成処理のためのレンダー出力が行えるようになりました。パネルを一つにまとめることで、従来は実現できな かった一般的に広く使用されている出力用の設定に役立つバッファ用のプリセットを保存できるようになりました。
Python スクリプト
Pythonは大半のCGパイプラインにおいて普及している業界標準のプログラミング言 語です。LightWave 11にPythonが包括されることにより、スタジオパイプラインにおけるLightWaveの統合はさらに加速し、Pythonに馴染みのあるユーザー はすぐにでもLightWave用のツールを提供できるようになるでしょう。
FiberFX 拡張
FiberFXには新しくボリュームレンダリングモードが実装されまし た。"Stroke"はボリュームレンダリング用のオリジナルのシェーディングメソッドです。"Solid"に設定すると、通常のサーフェイスのような シェーディングおよびマテリアルを適用することができます。これにより非常に複雑な外観を持つファイバーを簡単に作れるようになり、ファイバーに沿ってパ ラメータで制御され円柱状のレンダリングを実行することが可能です。
FiberFXのボリュームレンダリングは、スムーズなラインレンダリングが可能になるよう拡張されると同時に、ピクセルフィルターの結果と合致するよう、すべてのファイバータイプでレンダーバッファをサポートするようになりました。
ファイバー用のマルチスレッドを構築し分配させるための最適化が行えるようになったこと により、レンダリング速度が高速になり、ファイバー設定およびスタイリング作業時においてインタラクティブに作業できるようになりました。また、 FiberFXインスタンスアクセラレーターでは、複雑なケースにおいて、ベンチマーク用のレンダリングが2倍に高速化されていることを実証しました。
さらに、FiberFXではLightWave 11から新たに実装されたインスタンス機能の恩恵も受けるようになります。ボリュームモードでは新たに内蔵されたインスタンスシステムを使用するようにな りました。従来のFiberFXインスタンスタブは必要なくなったため、取り外されています。
FiberFXは以下の領域において拡張されたノードのサポートを提供しています:
- SolidボリュームタイプにおいてFiberFXインスタンスの色を変更するためのInstanceInfoノード
- ボリュームレンダリングのストロークもしくはリボンタイプに対してノードのカラー入力サポートが追加
- スムージングを含めたボリュームストロークレンダリング用のカラーUVテクスチャマップのノードサポートが追加
- スムージングを含めたファイバーのラスタライズに対するカラーUVテクスチャマップのノードサポートが追加
- FiberFXノード編集にアルファ入力が追加
- テクスチャマッピング用にアルファマッピングサポートが追加
ユーザーインターフェイスの拡張
ワークフローの追加および修正
機能は良いワークフローなしでは存在し得ません。このため、LightWave 11ではワークフローをいくつもの改善を加えています。それにより、たとえ些細な改善であろうと、より良いユーザーエクスペリエンスとより高速な作業環境を提供するのです。
ノード編集
検索
特定のノードをより早く見つけられるよう、利用可能なノードのリストを検索できるように なりました。また大文字・小文字を区別する検索オプションが追加され、検索結果がフラットリストとして表示されるようになりました(検索結果に合致した ノードはフラットリストに表示されるのに対し、そのノードが属しているノードグループはツリーリストとして表示されます)。また検索をクリアにし、リスト 全体へと素早く戻れるオプションも用意されています。これらオプション全てが検索フィールド右側のポップアップメニューに用意されています。
複数ノードの追加
ノードツリーリストが用意されたことで、一度に複数のノードを追加できるようになりまし た。必要なノードを選択し、ノード追加ボタンをクリックするだけです。もしくはまずノードをクリックし、ShiftキーやCtrlキーを押しながら(連続 選択、または不連続選択によりますが)、最後に選択したノードをダブルクリックします。ポップアップメニューを通してノードを追加する従来のやり方も、そ のまま使えます。ノード追加ボタンの隣にある小さなドロップダウンの矢印は、オリジナルのノードメニューがどこに配置されているのかを表しています。
最終レンダーに影響を与える数多くのオプションは、いくつものパネルにわたって配置され ています。従来はこれらの設定すべてをチェックするのに頻繁にパネルを切り替えなくてはなりませんでした。LightWave 11では、メインパネルへとグループ化されることにより、同じパネルの中だけで素早くアクセスできるようになりました。
レンダープロパティパネルの中にカメラとライトのオプションが用意されるようになりまし た。パネルを開くショートカットは従来のLightWaveと同じですので、ワークフローが変わってしまうわけではありません。一つのパネル内のそれぞれ のタブに分かれて設定が収納されていることで、レンダー設定のチェックはより設定しやすくなりました。レンダープロパティパネルはまた、ショートカット キー Ctrl + P でもアクセス可能です。
MorphMixer インターフェイスへのクイックアクセス
MorphMixerプラグインはキャラクターアニメーションでは特に重要な機能です が、数多いプラグインリストの中に埋もれていました。オブジェクトプロパティパネルの変形タブの中で、MorphMixerインターフェイスにアクセスす るためのボタンが用意され、すぐにアクセスできるようになりました。
さらなる拡張と最適化
IK計算の最適化
IKリグのパフォーマンスが改良され、キャラクタアニメーションの速度があがりました。これにより、作業中にも簡単かつスムーズなポージングが可能になります。またレイアウトのGLSLの速度も改良されました。
シーン読み込み速度の最適化
シーンとオブジェクト読み込み時において大幅に速度改善が図られました。ケースによっては7倍速にもなります。
モデラーの最適化と拡張
複数レイヤーを持つオブジェクトは、従来のモデラーよりも処理速度が向上しました。
軸外の整列
アイテム軸外にモデリングされるようになり、自動的に原点に整列されます。これによりボルトや精密部品といった複雑なサーフェイス上にディテールを配置したり、整列できるようになりました。
Shadow Catcher ノードマテリアル
Shadow Catcherではレンダリングによって背景面上に落ちた影や反射を取得し、背景上の"リアル"な地面と一致するようモデリングされたオブジェクトへとう つします。Shadow Catherノードは他のシーンアイテムの影と反射をレンダリングだけを行うノードであり、地面モデルのサーフェイスは無視します。結果はリアリティ溢れ るものとなり、あたかも写真の中にCGエレメントが実在するかのように、背景面上へと完全に影と反射を溶け合います。
プリントレンダーユーティリティ
印刷用のカメラフレームサイズの大きさを算出する方法について、今まで多くにユーザーか ら質問されてきました。この計算は非常に簡単であり、自動で計算することが可能です。LightWaveにおけるプリントアシスタントユーティリティが、 より完全な機能版に置き換えられたと考えてください。このバージョンでは主要な印刷単位を全てサポートしており、標準の紙のサイズもプリセットとして用意 しているため、印刷用の画像をレンダリングする際などに非常に有効です。
サンプリングの統一
アンチエリアシング、シェーダー、ライトのサンプリングは、より高度なサンプリングシステムの統一するよう大きく変更されました。その結果、より少ないレンダリング時間で、サンプリングの品質が向上しました。
新しいシステムでは、アンチエリアシングに対する変更が行われ、サンプルと品質の設定が インターフェイスに配置されるようになりました。これらはすべて絶対サンプルを使用するようになり、カメラとレンダーグローバルパネルのみに配置されるよ うになります。従来、ライトの品質は平方根により計算されていました。たとえば値に4と入力したら、実際のサンプル数は4×4、つまり16でした。
ノードの処理は微妙に異なっており、入力されたサンプルの絶対数に近づくよう処理されてはいましたが、時には完全に一致させることが不可能でした。これらが一致するようになり、より高画質になりました。
VPR 拡張
VPRはビューポートの中でオブジェクトクリックすることにより、サーフェイスを選択で きるようになり、色・質感編集パネルの中で選択されたサーフェイスがハイライト表示されるようになります。この新機能により、サーフェイスがさらに修正し やすくなります。レンズフレアもVPRで直接サポートされるようになり、更新されたサンプリングの統一もVPRに反映されるようになり、品質が向上しまし た。
HyperVoxels ブレンディング
HyperVoxel用メタボールブレンドメソッドは改修され、どの HyperVoxelタイプであっても使用できるようになりました。二つの従来のプリセット選択(Metaballs 1とMetaballs 2)は残したまま改修が行われており、パーセンテージを入力するフィールドを通してコントロールすることができます。また、エンベロープとテクスチャを使 用したアニメーションの値を通してコントロールすることも可能です。
OBJ 入出力の拡張
OBJファイルフォーマットはより強固なものとなり、より広範囲にわたるマテリアルタグをサポートするようになりました。他の外部アプリケーションとの入出力を最適化することで、読み込み速度を高速化が図られました。
まとめ
LightWave 11では過去のLightWaveの中でも、最も進化し機能に富んだバージョンと言えるでしょう。前進するにあたり、LightWaveの信念は"テクノロジがアーティストを支える"ということであり、各新機能がこれを証明しています。
LightWave 11はユーザーやデザイナー、主要スタジオたちと密に作業することで開発されたバージョンです。このバージョンは、アーチストの立場に立って考えられてお り、プロダクションを中心に据えたワークフローを確立し、より柔軟性があり創造的なオプション、より速い応答時間、チームや個人でのプロジェクトの完了を 成功に導いています。私達はLightWaveチームのメンバとして、ユーザーの皆様がこのLightWave 11で素晴らしい作品を作って見せてくれることを楽しみにしています。
LightWaveはVFXやアニメーションの分野において、確かな受賞実績を築いています。