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メロトロンについて。

SampleTronに収録された「メロトロン系」楽器は、1950年代に発売されたChamberlinから始まり、1970年代のMellotron 400でピークを迎えました。その特徴は、鍵盤を弾いた時、楽器の演奏が録音されたテープ(またはディスク)を再生するところにあり、そこが「サンプラーの元祖」と呼ばれる所以でもあります。演奏したい音にあわあせて、テープを入れ替え、装着する仕組みのため、筐体は大きく、壊れやすい楽器でしたが、その音には他では得ることのできない味があり、多くのアーティストに愛用されました。

楽器に詳しくなく、「メロトロンなんて知らない」という方でも、その音は知らないうちに耳にしているはずです。ビートルズの名曲「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」イントロのフルートといえば、「ああ、あの音か」と納得する方も多いでしょう。
 

現在、コンディションの良い楽器、テープを手に入れることはさらに困難になっていますが、60/70年代に録音された素材ならではの「ヴィンテージ」フィールの虜になるアーティストは後を絶ちません。カニエ・ウェスト、スマッシング・パンプキンズからベックまで、現代のヒップホップ、ロック、ポストロック・アーティストによって、常に新しい使い方が試みられています。

1画面で音色のブラウズからエディット、エフェクト処理まで行える「Powered by SampleTank」仕様なので、GarageBand、Logic、dp、Cubase、Sonar、Pro Toolsなどのプラグインまたはスタンドアローンで演奏できる16パート・マルチティンバー音源として、気軽にお使いいただけます。
 

基本的に「テープを再生する」実機に忠実なあまり、ほぼ原音のままでしかつかえない他のメロトロン系音源とはことなり、シンセ・エンジン、エフェクターも実装しているので、60/70年代フィールにあふれた原音をもとに、フィルター、ディストーション、ローファイ・エフェクトなどを施せば、カニエ・ウェスト、スマッシング・パンプキンズ、ベックなど現代のヒップホップ、ロック、ポストロック・アーティストたちが懐古趣味を超えた「現代の」楽器としてメロトロンにアプローチする理由が実感できるはずです。

オプティガン、タレントメイカー本体が手に入っても、その音源ディスクを集めるのは至難の技ですが、SampleTronにはその大量のループも収録されています。コンガ、ベース、ギターのループから、コンボ演奏まで、60/70年代のフィーリングにあふれたグルーブは、ラウンジ系、モンド系はもちろん、R&Bなどに使っても面白いでしょう。1つのパッチをロードすると、複数のグルーブが鍵盤上に並ぶので、組み合わせを試しているだけで、次々と新しいアイデアが浮かんできます。

収録楽器
Mellotron® M400
Mellotron® MK5
Mellotron® MKII
Mellotron® Powerhouse (8 Track Rhythm Machine)
Novatron®
Vako Orchestron®
Optigan™
Talentmaker™
Chamberlin™ Music Master 600
Chamberlin™ Music Master 400
Chamberlin™ Model 200
Chamberlin™ M1
Chamberlin™ M4
Chamberlin™ Rhythmate™
360 Systems® "Digital Tron"
Roland® VP-330 (Choir)
Stylophone®

SampleTronとオリジナル楽器の関係について。

SampleTronは、単なる懐古趣味のバーチャル・インストゥルメントではありません。1960/70年代の「トロン系」楽器を、現代のアーティストに最適な形で提供することを念願に置いた「21世紀の音源モジュール」です。

Roland JVシリーズの拡張音源「Keyboards of the 60's and 70's」、「Vintage Syhth」を手がけるなど、ヴィンテージ楽器の音源化に定評のあるデイブ・カーズナーが率いるSonic Realityチームによって丁寧にサンプリング、プログラミングされた音源には、各テープ、ディスクの音源に対する愛情があふれています。


最良のコンディションのものから、最高とは言いがたい状態のものまで、ありとあらゆる楽器、音源を収集し、サンプリング後の音源をどこまで修復し、どこまでノイズや揺れを残すかといった判断には、米国のスタジオ現場で求められるサウンドを熟知したSonic Realityチームの経験が生きています。

SampleTronの醍醐味は、原音の味わい、バリエーションだけではありません。IK MultimediaのSampleTankエンジンによる直感的な操作体系と、パワフルなシンセ・エンジン、内蔵エフェクターにより、他の「トロン系」バーチャル・インストゥルメントでは不可能なクリエイティブな音作りが簡単に行えるようになっています。


600種類以上と膨大なプリセットも、楽器別にフォルダ分類された音色ブラウザを使えば、迷うことはありません。Optiganなど、魅力的なループが用意された楽器では、ループを集めたフォルダも別途用意されています。

SampleTankエンジンは、16マルチ・ティンバー仕様となっていますが、各パートのMIDIチャンネルを合わせるだけで音を重ねて再生することができるので、「ストリングス + コーラス」といったレイヤーも簡単に構築可能です。各パートの音域も指定できるので、低音部は弦楽器、高音部でフルートといったスプリット設定も簡単です。


各パートには、ディレイ、コーラス、フランジャー、ディストーション、リバーブ、FM/AMモジュレーションからLo-Fi、スライサーまで、32種類そろったエフェクトから4つをインサート可能です。シンセ・エンジンのフィルター、モジュレーションなどと組み合わせて、自分ならではのサウンドを生み出す楽しみは、格別です。

SampleTronは、「メロトロン・ファミリー」を再現するだけでなく、その理念を継承した「楽器」となるように制作されました。歴史的音源だからといって、素の音をそのまま使わなければならないということはありません。ヒップホップ、R&B、エレクトロニカから映画音楽まで、新しい歴史を創造できるよう、自由にお使い下さい。