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音楽を再生した時に耳に届く音。

デジタル・オーディオ・ワークステーション(DAW)システムの普及により、世界中に無数のプロフェッショナル・スタジオ、プロジェクト・スタジオ、ホーム・スタジオが誕生しました。その過程で、作曲、ミックス、マスタリングに使用する機材に関しては大きな関心が寄せられてきましたが、音楽制作時のクオリティを左右する重大な要素である「正確なモニタリング・システム」については、見過ごされることが多いようです。実際、多くのスタジオにおいて、スピーカーと部屋の音場の関係に関しては無策となっていることがよ
くあります。

スタジオで使用されるニア・フィールド・モニター・システムは、音に色づけをせず、歪みの無いサウンドを再生するよう設計されています。しかし、そのモニターがユーザーの部屋に置かれた時点で、まわりの壁、天井、家具、機材の間で音の反射、吸収が発生するため、その部屋固有の複雑な歪みは避けることができず、モニターそのものの正確さは失われてしまいます。言い換えれば、音楽を再生した時に耳に届く音が、音楽そのもの以上に部屋のサウンドであることが、多々あります。

補正時の位相の乱れと、
複数のリスニング・ポイントへの対応。

この問題に対しては、これまでも吸音フォームなどによる音場トリートメント、音場補正EQ、セルフ・キャリブレーション機能付きのモニターなど、いくつかの解決方法が試みられてきました。それぞれの方法が有効なのは事実ですが、DAWを中心としたシステムとの親和性に問題がありました。

吸音フォームなどによる音場トリートメントには専門的な知識が必要で、多くのミュージシャン、プロジェクト/ホーム・スタジオ使用者にとって困難な作業となっています。プロフェッショナル・スタジオにおいても、求めるレベルの正確さをもった音響を実現するためには、スタジオの形状から慎重に設計する必要があります。理想的とはいえない形状に設計された部屋の音場を後から整えるには、かなり高額なトリートメント処理が必要となります。

伝統的な音場補正EQ、セルフ・キャリブレーション機能付きのモニターにも、高価なシステムがいくつか存在します。しかし、そのようなシステムでは周波数特性を改善することはできても、音場によって発生した位相の問題を解決できないことがよくあります。それどころか、伝統的な音場補正EQでは、補正時に位相の乱れを発生させるものもあります。こうして発生した位相の乱れの重なりは耳の良いエンジニアの嫌うところとなり、「作業前に補正EQをオフにする」という方も多いようです。

また、多くの音場補正EQシステムのキャリブレーションは、1カ所での測定結果に基づいて行われています。その場合、スウィート・スポットの音は改善されたとしても、他の場所で聴く音が悪化することになります。

高い評価を得ている
Audyssey Laboratories™ Inc.の技術を導入。

セルフ・キャリブレーション機能付きのモニター、音響専門家によって設計された部屋を用意できた場合でも、今日のモバイルなワークフローには対応できません。ラップトップ・コンピュータを使ったモバイルなレコーディング・システム、他のプロジェクト・スタジオ・ユーザーとのコラボレーションといった機動性の高さは、今後ますます重要な要素となることでしょう。

こうした、今日のDAWスタジオで見落とされてきた問題を解決するため、IK Multimediaではホーム・シアター、オーディオ愛好家の音場補正システムとして高い評価を得ているAudyssey Laboratories™ Inc.と手を組むことを選択しました。そうして誕生したのが、革新的で、安価で、モバイルなワークフローに対応した音場補正システム、ARC Systemです。

ARC Systemは、測定マイク、測定解析ソフトウェア、AU/RTAS/VST対応の音場補正プラグインの全てが含まれます。ウィザードに従って簡単に(スムーズに行えば30分程度です)導入することができます。

補正手順。

  1. スタンド・アローンのARC測定解析ソフトウェアを起動する。
  2. テスト・トーンをスピーカーから再生し、測定マイクにて拾い解析する。
  3. 上記を、12~32カ所のリスニング・ポイントで繰り返す。
  4. 解析結果にプロファイル名をつけて保存する。
  5. DAWのマスターに、ARC補正プラグインを起動する。
  6. 測定時に保存したプロファイルをロードする。
  7. 補正をONにした状態でしばらく聴いてから、OFFにしてみてください。歪みの怖さがわかるでしょう...

プロファイルはいくつでも作成/保存する事が出来ます。複数のスピーカーを使い分けている場合や、リスニングポイントに応じて作成しておくと、プラグイン側でいつでもプロファイルを変更する事が出来ます。

プラグインで、音場補正。

部屋の形や家具の素材によってかたよった音響特性。そんな問題も、ARC Syntemを使えば数分間で解決可能です。付属の測定マイク、解析ソフトウェアを使って部屋の特性を保存してください。あとは、DAWソフトウェアで補正プラグインを起動して、保存したプロファイルをロードするだけです。

まずは、補正後の音を30秒間、聴いてみてください。補正をオフにした時、「こんな音でミックスしようとしていたのか」と、怖くなることでしょう。

部屋の特性を測定、プロファイルを保存の2ステップが終われば、あとはDAWソフトウェアのマスターにプラグインをインサートしておくだけです。

周波数だけでなく、位相の問題も補正。

音場補正システムの多くは、周波数特性の補正を行っていますが、そこで採用されるイコライザーのアルゴリズムによって、位相の問題が発生する場合があります。南カリフォルニア大学での5年以上にわたる研究に基づくAudyssey MultEQ®テクノロジーを採用したARCでは、周波数特性だけでなくタイムドメイン(時間領域)での解析を行うことで、位相の問題を解消しています。業務用スタジオで仕事をしているエンジニアにも「欲しい」と言われるクオリティが、そこにあります。

MultEQ®は、米国ホームシアター業界では有名な音響特性補正システムで、通常は$2,500(約30万円)のSound Equalizer + インストール(設置、解析、設定)費というかたちで提供されてます。

複数リスニング・ポイントでの解析による、
精度の高い補正。

他のシステムには、1カ所でのマイク測定の解析結果を元に補正を行うものがありますが、それでは他の位置で聴いたときの音が悪化する結果になりかねません。ARCでは、最低12カ所、最高32カ所のポイントで収集されたデータを総合的に分析し、心理音響学に基づき、リスニング・エリア全体の音質を改善します。解析/補正プロファイルも好きなだけ作成可能なので、「自分のイスが動く範囲の12カ所」、「クライアントが座る場所を含めた32カ所」など、設定の切り替えも簡単です。

ARC Systemは、トリートメント状態が気になるプロ・スタジオはもちろんですが、固いフローリング、低い天井、四角い形状といった三重苦が揃いがちなホーム・スタジオにこそ、最適なソリューションです。