更新:2016.5.18
園田浩二の Poser 11 ファーストインプレッション 第3回 絶対スケールに対応ってなんのこと?
絶対スケールに対応ってなんのこと? <そのメリットと検証>
3DプリンターでPoserのドールをプリントしてみたい方や、建築パースや説明図の一部に取り込みたい方で、既に一度はやってみたことがある方がいらっしゃるかも知れません。これはPoserに限ったことではありませんが、今まで3Dソフトを他のソフトと一緒に使う時に少なからず問題があったのではないかと思います。
他のソフトに持って行く時には、互換性のあるファイルフォーマットで書き出すことになりますが、3DfaceのDXFはスケールの解釈がインポート側でもマチマチで、汎用性はありますが、運用に基準となる立方体を入力するなどの工夫が必要でした(2DのDXFには対応していません)。
大半のソフト間の3Dファイルのやりとりで、一番のオススメはWavefrontOBJになりますが、これに関しては、これまで出力側のPoser自体に問題がありました。ソフト間の形状と大きさが合わない、いわゆるPoser単位と呼ばれるものですが、これまでは相手側のソフトで、独自のスケール変換テーブルを設定して対応していました。
<環境設定でPoser単位から他の単位系に表示を変えることはできますが、これで入出力の大きさは変化しません>
これに関して、今回Poser側でも解決したのが絶対スケールの採用です。 ただ説明が今一つ具体的ではないので、大きな勘違いをしていましたが、これは自動調整するのではなく、Poserのインポート、エクスポート時にスケールの%設定で大きさを変更できると言うものです。
<読み込みフォーマットに応じたスケールダイアログが用意された>
<以前のダイアログ>
<書き出しにもフォーマットに応じたスケールダイアログと設定が加えられた>
スケール変換値を検証しなければならない点はありますが、これでPoser側でも正確なスケールで対応できる道が開けたと言うことでしょう。
<そのまま読み込むととんでもない大きさの椅子>
<スケールファクターを変えて読み込むと適切な大きさに>
それでは、その他にファイル互換で注意しなければならない点を 製品レビューとは脱線してしまいますが、お届けしたいと思います。
立体プリントのために (他の3Dスカルプトソフトとのやり取り)
Sculptrisは,フリーで使える優秀な3Dスカルプトソフトで、ZBrush互換ファイルを書き出したり、UVマップを簡単に生成したり、ポリゴン数の増減を優秀なアリゴリズムでやってくれる点で重宝します。
<Sculptressのペイントモード側のインターフェースにPoserのAndyを変換表示したもの。ポリゴンリダクションと新しいUVを自動で作れます。
Sculitrisとの間では、今までWavefrotnOBJでやり取りしていたのですが、日本語ファイル名が通らない、UV情報を削除してからでないと読み込めない等の条件がありました。
試しにPoserが書き出すZBrushのフォーマットを使うと、Scriptris自体がZBrush互換のファイルを取り扱えるため、デフォルトだと天地がひっくり返りはしますが、無条件で読み込めるので、今後はこれを使うことになるでしょう。 (ZBrushをお持ちの方はそのまま利用されると良いと思います)
比較的安価で高機能でもあるMudboxを使う場合は、WabefrontOBJでは読み込み直後に、様々なメッシュのエラーを無視して全て維持で読み込むと、ハイポリ過ぎる部分はありますが、そのままスカルプト可能です。またFBXだと、よりサブデバイドする前のメッシュで取り込めて、非力なマシンでも加工しやすくなりました。
<Mud boxでandyをスカルプトしている画面 >
いずれのソフトの場合も、ドールの自己交差を自動で解決したりはできませんし、スケールが合わな いと、表示とブラシスケールに問題が出て、加工しづらくなるのですが、少なくともスケールの面では、事前にPoser側で調整して出力できる道が開けましたので、適切な大きさで扱えるようになるでしょう(一つのポリゴンメッシュが自分自身に食い込んだ状態を指す自己交差については、ラッピングができるソフトで解決する方法がありますが、3Dプリントのサービスビューローによっては処理してくれる所もありますので、ラッピングできるソフトを持っていない場合は相談してみてください) 。
Poserを素体として使う可能性
どう言ったものができるのかと言うと、Poserの犬(ラプラドールレトリバー)のポーズと各部の比率を変更したものから、このような犬を作る事もできます(大抵の犬種は全てラプラドールレトリバーかドーベルマンを素体にして作ることができますし、猫や馬についても同様です) 。
Poserを使うメリットとしては、骨格が正しくなり、若干手足が長く、耳の加工は工夫が必要ですが、口を開けたり閉めたりがダイアル一つで可能な事など、素体としては大変重宝すると思います。
<Poserの犬の初期ポーズ>
<関節をインバースキネマティクスで動かしてポーズを作ることもできるが、ポースライブラリからお座りのポーズを選択すると一気にここまで完成>
<頭部を選択してモーフダイアルの口を操作すると口が開きます>
<Sculptresでポリゴン数を減らし、UVを新規にワンスキンで自動生成、 Mudboxでスカルプトし、ペイントし直すと全く違う犬種でもこのように作れます。 もちろん3Dフィギュアとしても出力可能です>
でも、Poserの形状ファイルから加工したものを著作権にうるさい昨今、製作物に使っても良いのかと言う疑問をお持ちの方もいらっしゃる事でしょう。 それについては、Poserに収録されている形状ファイル自体、またそれを加工した形状ファイルを販売流布する事は認めてられていませんが、Poserで製作した二次創作物については、イメージ、その他の出力物に関して問題はないとされています。 また、御自身で製作した形状をPoser内で動作可能にした物についても、販売のルートがありますので、ぜひ有効活用してみてください。
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Poser 11
3Dキャラクターアニメーションやイラストを作成するデジタルアーティストの秘密兵器。
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