更新:2016.6.17
園田浩二の Poser 11 ファーストインプレッション 第7回 Poser 11のレンダリング
Poserのユーザーにどれだけレンダリングクオリティにこだわる方がいらっしゃるのかはわかりませんが、時々ビックリするくらい美しくレンダリングされた作品を見るので、そのポテンシャルは高いものがあると思います。
従来のFireFlyでも綺麗な画像は多くありましたが、フォトリアリスティックと言う意味では、人体を写実に近づけるには、レンダラー自体に機能が備わっていないと難しい表現がありました。
今回レンダリング設定に足されたSuperFlyレンダラーの設定項目のタブに、その主なものが揃っています。レンダラーに興味がないと馴染みの薄い用語が多く、何のことやらと思われる方も多いでしょう。
また、レンダリングがデフォルト設定のままで、テクスチャー自体を編集した事も無いユーザーも、Poserが簡単便利な人体作成ソフトから出発しているため、少なく無いのではと思います。
折角追加された新しいレンダリング表現も、マテリアルのノード編集や照明をいじらないと実現しないものが多く、このノード編集が自由度が高過ぎて、理屈が解っていないと使えなかったり、どこを触っていいのかがわからない原因となって、敷居を高くしている一因かもしれません。
そこで、追加された表現の意味と設定法について説明したいと思います。
コースティクス
コースティクスには反射コースティクスと、屈折(透過)コースティクスがあります。
コースティクスとは集中火線とも呼ばれ、金属のスプーンがお皿に落とす反射光や、透明なガラスを透過した光が落とす明るい屈折光などを、それぞれ反射、屈折(透過)コースティクスと呼んでいます。
これらの効果はレンダリング設定のSuperFlyタブのプログレッシブリファインメントのスイッチをオンにしないと現れません。
また、マテリアルのノードをいじらないと的確な効果も出ないでしょう。
ボリューム(ボリュメトリックマテリアルによる)レンダリング
ボリュームと言うのは、密度の事です。
簡単に言うと、中にアンコが詰まった、半透明のおまんじゅうをレンダリングしようとしてもボリュームレンダリングの機能がなければ、はっきりした輪郭のアンコしかレンダリングされないのですが、ボリュームレンダリングあれば、皮の屈折や散乱する光を通して、ぼんやり中にアンコがあるような画像生成が可能になると言うことです。
アンコは人体と関係ないように感じるかも知れませんが、太陽にかざす掌の僕の血潮が表現できたり、耳たぶがうっすらすけたりと、より自然な表現が可能になる点で、人体表現にも必要な機能と言えます。
ボリュメトリックマテリアルを設定しないとその効果も現れませんが、その他にも設定する項目が多いので、ただレンダリングボタンを押せば良いと言うものでもないのが厄介な部分でもあります。
負荷がかかる両手法
どちらの効果も、サンプル(光線追跡)数を上げないと、はっきりとした効果が出ないのと、光源の当たる向きを工夫しないと適切な効果が現れません。
また、計算時間がかなりかかる手法になりますので、ハードウエアアクセラレーションが得られないと時間コストはかなりかかりますが、レンダリング時間は待てば良いだけですが、問題は適切なマテリアル設定でしょう。
マテリアル設定を助けるプリセット
マテリアルルームのマテリアル設定については、プリセットにそれぞれのノードを勝手に足してくれるスイッチが用意してあります。
<サブサーフェーススキンの設定をクリックするとノードが足されます>
このルーター間の配線図のようなものがノードと呼ばれるものです。
マテリアルの要素別に右横の三角からドラッグすると配線を足すこともできるのですが、イメージによる効果を足したりすると言うヒントを出してくれるので、全くノード設定に無縁だった方にも理解が早まるような工夫が用意されています。
要はどのマテリアル効果にも、個別の機能を配線して足すことができますよと言うことなんですが、設定によっては全く意味をなさない設定もできる様になりますので、なるべく無駄な設定は省いた方が良いでしょう。
ノードを接続して足されたモジュールに画像を読み込んだりして自由なテクスチャーを生成することができますが、固有のテクスチャー画像については、ペイントソフトやレタッチソフトで自作する必要があります。
レンダリング設定については、照明条件などによってオールマイティな固定の設定が存在しに来いので、ある程度うまくいく範囲を探らなければなりません。
<ノードの設定の変更はプレビューでもすぐに確認することができます>
<先の設定で、顔だけにボリュメトリックマテリアルを設定してみました。首の色と顔の色、明らかな差が 出ていますが、額の辺りの光り方やあご下のほんのり明るいところなどが従来の表現と異なる部分です>
最初の内は極端な設定をして、どの位の割合にすればちょうどよくなるかトライしてみてください。
光源にもエリアライト
今回、光源にエリアライトなども装備され、従来のレンダリングにありがちだったはっきりし過ぎた影や陰影を部分的にぼかしたり、ほんのり明るくする事も可能になりました。
新しい画質を手に入れたPoser11でレンダリングクオリティに注力した作品も今後増える事でしょう。Poser一本で済ませたい方にも良いアップグレードになっていると思います。
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