Sibeliusのココがすごい 第16回
ユーザーインタビュー 金子隆博氏
今回のSibeliusユーザーインタビューは、作曲家/編曲家/プロデューサーとして、 米米CLUBの楽曲作り、アレンジを中心に、いろいろなアーティストに音楽を提供されている 金子隆博さんです。プライベート・スタジオにお邪魔して、Sibeliusとの出会いからその使いこなしまで、様々なお話を伺いました。 |
愛用のPro Toolsと連携できるということでSibeliusを使い始めた
そんな金子さんが再び譜面作成ソフトを使ってみようと思われたのは?
sibeliuski |
金子さんはSibeliusを使い始めて、まだ日が浅いそうですね。 |
金子さん |
そうです。一昨年の暮れにバージョン6を手に入れて、本格的に使い始めたのは昨年くらいから。最初にレクチャーを受けて、基本的な操作はおしえてもらったんですけど、いざ曲を書こうと思ったらもの凄く時間がかかって(笑)。いまはだいぶ慣れましたけどね。 |
sibeliuski |
本格的に使い始めて1年ちょっとというのが驚きです。もうかなり使いこなしていらっしゃいますよね。 |
金子さん |
ぼくの場合、こういうツールを手に入れたら即実践に投入してしまうので、それがよかったのかもしれない。実践で使って分からないところはその場ですぐに調べて。それでも分からない場合は、アビッドさんに電話をすると(笑)。しかしまだまだ使いこなしているとは言えないですよ。 |
sibeliuski |
Sibeliusを手に入れられるまでは、別の譜面作成ソフトを使用していたのですか? |
金子さん |
いや、ずっと手書きでした。実を言うと大昔に譜面作成ソフトを手に入れたことがあるんですけど、難しくてちょこっと触ってやめてしまって。こういうのってタイミングがありますからね。 |
sibeliuski |
金子さんくらいの仕事量となると、手書きだと大変ですよね。 |
金子さん |
確かに大変なんですけど、ぼくは手書きが好きなんですよ。メロディーやアレンジを考えながら、ひとつひとつ音符を書いていくのが好きで。 最初に譜面作成ソフトを意識したのは、90 年代中頃ですかね。 当時、何しろアレンジが楽しくて、プリプロダクションの段階では、ホーン・セクションやストリングスセクションのアレンジ等は、シンセの音源でシミュレートする訳ですけど、実際にホーンので吹くのと同じボイシングで打ち込んでみたら、 同じ音源でもとてもリアルな感じになることに気がついたんです。ストリングス・セクションも同じくです。 それを、ポストプロまでそのままのアレンジで使う事が多くなり、それだったら自分が打ち込んだデータをそのまま譜面としてプリント・アウトしたいなぁと思ったんですよね。 そうすれば、自分で譜面に書き写す段階でのミスが無くなるしね。 それでさっきも言ったように譜面作成ソフトを手に入れたんですけど、何か馴染めなくて、すぐに使うのをやめてしまいました(笑)。 |
金子さん |
2008年の暮れに手がけた『銭ゲバ』というドラマのサウンドトラックの仕事がきっかけですね。そのオファーがもの凄いギリギリで、納品は12月の終わりなのに、ぼくのところに話がきたのが12月のアタマだったんですよ(笑)。 2~3週間で30曲くらい作らなきゃいけないというハード・スケジュールで、これはもう手書きだと間に合わないなと。 それでどうしようと思ったときに、知り合いの音響効果の会社に音大出身の若いスタッフがいるんですが、彼女が「Sibeliusを使ってみたらどうですか?」とアドバイスをくれたんです。ぼくがPro Toolsを使ってMIDIの打ち込みを行うことを知っていたので、Sibeliusを使えばPro ToolsのMIDIデータを簡単に移行できるということをおしえてくれたんですよ。 それがSibeliusを使った最初ですね。 実際にはPro Toolsとの連携機能もシンコペーションが上手く変換されなかったり、完璧なものではなかったんですけど、それでも普段愛用しているDAWと連携できるのは便利だなと思って。それで1年後くらいに購入した感じですね。 |
金子隆博 ~プロフィール~
学生時代より米米CLUB、オルケスタ・デ・ラ・ルスetcのバンド活動でミュージシャンとしてのキャリアをスタートする。現在は、米米CLUB、BIG HORNS BEE、K2C SUNSHINE BANDの活動と並行し、アーティストのプロデュースや、CM音楽(ニチレイアセロラソーダ/編曲)やドラマ「出来ちゃった結婚」「すいか」「ホカベン」「銭ゲバ」「Q10」「ドン★キホーテ」等、 数々のサウンドトラックを手がける。また、ベルリン映画祭でザルツゲーバー賞を受賞した荻上直子監督の映画「めがね」他、「プール」「マザーウォーター」の音楽を担当。 最新作は、日本テレビ系ドラマ「三毛猫ホームズの推理」(Vapより5/23リリース) そして新ユニット、シュークフラッシュ!(シュークリームシュ+フラッシュ金子)では、 7/22まで全12公演の全国ツアーを行った。